昔の100円は今の何円?どうしてお金の価値は変わるのかを解説!

金融コラム

2024年7月11日

お金の価値は、世界情勢や経済政策等によって常に変動しています。昔は100円で購入できた物が今では100円以上のお金を払わないと購入できなかったり、同じ1,000円でも入れられるガソリンの量が減ったりと、日々生活するなかでお金の価値の変化を実感している方も多いのではないでしょうか。

 

将来のためにお金を準備する際には、お金の価値が変化することを理解しておくことが大切です。

 

そこでこの記事では、お金の価値が変わる理由や、昔の100円が今の何円に相当するのか等をわかりやすく解説します。

 

 

なぜお金の価値は変わるのか

まずは、お金の価値が変わる理由を確認しておきましょう。

 

「物価」によってお金の価値が変わる

お金の価値は「物価」によって変動します。物価とは商品やサービス等の価格のことです。物価が上がると同じ金額で買える物の量が減るため、お金の価値が目減りします。逆に物価が下がれば同じ金額でも購入できる物の量が増えるため、お金の価値は上がることになります。

 

例えば、昔は1個100円だったリンゴが、物価の上昇により1個200円になったとします。昔であれば1,000円で10個のリンゴが買えましたが、物価上昇後は1,000円を払ってもリンゴは5個しか買えません。これはお金の価値が半分に目減りしたということです。

 

物価が上がったときに今までと同じ生活水準を維持するには、より多くのお金が必要になります。

 

物価変動の指標となる「物価指数」

物価の変動を示す指標となるのが「物価指数」です。物価指数は基準となる年の物価を100と設定して、別の年の物価変動の割合を数値で表しています。例えば2020年を基準年として、この年の物価を100としましょう。仮に2021年の物価が2%上昇した場合、2021年の物価指数は102となります。

 

物価指数には様々な種類がありますが、ここでは代表的な2つをご紹介します。

 

【企業物価指数】

企業物価指数とは、企業間で取引される金属製品や木材等の価格変動を数値化したものです。企業物価指数の上昇は、企業間で取引されている物の価格が上昇していることを表しています。

 

国内企業物価指数はバブル崩壊や円高等の影響で一時的に下落したこともありましたが、近年では急激に上昇しています。

参考:統計ダッシュボード

 

【消費者物価指数】

消費者物価指数とは、消費者が購入する物やサービス等の価格の変動を数値化したものです。食料品や衣服、家賃、光熱費等の価格の変化を可視化して、家計にどのような影響を与えているのかを知ることができます。消費者物価指数の上昇は家計の支出が増加していることを示しており、収入の増加が伴っていなければ家計が圧迫されていることになります。

 

消費者物価指数は1970年から1994年頃までは上昇傾向にありましたが、その後はバブル崩壊の影響等から2013年頃まではほとんど上がらない状況が続いていました。しかし、2014年頃からは大規模な金融緩和政策により緩やかに上昇しはじめ、2023年時点でも上昇が続いています。

参考:政府統計の総合窓口

 

昔の100円は今の何円?

前述のとおり、時代の移り変わりとともに物価は常に変動しています。物価の変動に伴ってお金の価値も変わっているため、昔と今では同じ100円でも価値が異なっているのです。

 

100円の価値が時代によってどのように変化しているのかを、企業物価指数をもとに算出し以下にまとめました。下記のデータを見ると、昔と比べて現在のお金の価値が大きく目減りしていることがわかります。

各時代での100円を令和5年(2023年)での価値にすると

・明治34年(1901年):186,844円

・大正10年(1921年):67,615円

・昭和40年(1965年):244円

・平成12年(2000年):123円

※明治34年・大正10年は戦前基準指数、昭和40年・平成12年は国内企業物価指数をもとに算出

参考:日本銀行「昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?」

 

 

 

 

物価が変動するワケ

お金の価値が物価によって変動していることはご理解いただけたかと思いますが、そもそも物価が変動するのはなぜなのでしょうか。物価が変動する理由を、需要と供給のバランスやインフレ・デフレの観点から解説していきます。

 

需要と供給

物価は需要と供給のバランスによって決まります。需要は買おうとする商品の量、供給は売ろうとする商品の量です。

 

需要が供給を上回っているときは、届けられる商品の量が足りなくなるため、物の希少価値が高まり物価は上がります。野菜の収穫量が少ない年に、価格が高く設定されるケースがこれに当てはまります。

 

逆に供給が需要を上回っているときは、買おうとする量よりも売ろうとする量が多すぎる状態です。この場合は、在庫を減らすために物価は下がる傾向があります。野菜や果物の収穫量が例年に比べ多かった際に、価格が安く設定されるのがこのケースです。

 

インフレとデフレ

インフレとデフレも物価を変動させる大きな要因です。

 

インフレは、景気がよくなる→給与・収入が増える→購買欲が上がって消費が拡大する→需要が増加する→物価が上昇するという循環で起こります。

 

企業にも消費者にとってもいい状態に見えますが、インフレが進み過ぎると物価の上昇に収入の増加が追いつかず、生活が苦しくなるという側面もあります。

 

一方のデフレは、景気が悪くなる→企業の業績が悪化する→給料が減る、または増えない→消費が落ち込む→需要が減る→物価が下がるという循環で起こります。

 

デフレになるとお金の価値は上がりますが、経済が停滞するリスクがあるため、いい状態とは言えません。

 

 

どうして今、物価が上がっているのか

近年は食料品やガソリン等が値上げされ、日々生活するなかで物価上昇を実感している方も多いでしょう。物価が変動するときには、何かしらの理由があります。最後に、どうして今、物価が上がっているのかを解説していきます。

 

エネルギー原材料の高騰

物価が上がっている原因のひとつとして、エネルギー原材料の高騰が挙げられます。エネルギー原材料は、製造や輸送の過程で欠かせないものです。

 

近年の世界情勢の悪化や気候変動によりエネルギー原材料の確保が難しくなり、これらの価格が高騰したことによって物価も上昇しています。

 

世界的な人口増

人口が増えれば、食料や衣類、住居等様々なものの需要が高まります。日本では少子化や人口減少が問題となっていますが、世界的に見れば人口は年々増加傾向です。

 

世界の人口増による需要の増加に供給が追いついていないことが、物価の上昇につながっています。

 

円安

円安も物価の上昇に関係しています。円安とは外国の通貨に比べ円の価値が下がっている状態のことです。

 

円安になると輸入品を日本に仕入れるときに多くのお金が必要になるため、販売価格も高くなってしまいます。また原材料を外国から日本に輸入している場合も、製造コストが高くなるため商品の価格が上がります。

 

 

まとめ

この記事では、お金の価値が変わる理由や物価の変動について解説しました。

 

記事内でも解説したとおり、物価は常に変動しており、インフレが進行すると将来的にお金の価値が目減りする可能性があります。お金の価値の目減りを防ぐには、インフレリスクに対応できる資産運用を行うことが大切です。

 

ただし、資産運用にはリスクもあるため、それぞれの商品の特徴を理解したうえではじめなくてはいけません。資産運用について詳しく知りたい方、ご自身にあった方法でお金の価値の目減りを防ぎたい方は、銀行や証券会社等で専門家に相談するのがおすすめです。

 

せっかく貯めたお金が目減りしないように、インフレリスクへの対応を考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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